木造の最近のブログ記事

5mの落差を活かしたいえ

開発分譲地として残ってしまった宅地、それも敷地内に5mもの落差がある土地でしたが、
駐車場を確保しつつ眺めの良い開放的なリビングを実現出来ました。

土地の形状を巧みに利用する

クライアントの若夫婦は子供の誕生に合わせてマンション購入の検討をし、
3LDKの新築マンションを予算内で購入することを予定していました。
しかし、入居後の管理・修繕費や駐車場代など月々の諸費用が5万円程度必要になることを知り、
一戸建ての住宅を持つことも選択肢の一つになると気づきました。
探し当てた土地は、地下鉄沿線の駅から徒歩10分くらいの開発分譲地です。
約55坪の敷地の中には高低差が5mもある擁壁があり、不動産的には評価の低い土地でした。
ただし、東面は開けた小川に面し、北側には遠く神社の森を望むことができます。

計画としては、建物内あるいは敷地内に駐車スペースが確保出来なければ意味が無いと考え、
5mの高低差に目をつけました。

カーポート兼用のアプローチは公道から30センチ上がったレベルとしています。
玄関はちょうどペントハウスから出入りするようなイメージとすればよいと考え、
最上階を玄関とそれに付随する中庭的なデッキテラス、およびカーポートとし、
その下にファミリースペース、最下階に浴室、洗面、個室という構成としています。
木造2階建ての陸屋根に車が載ることになるので、構造は剛床構造及び4寸柱で構築してあります。
合わせて2階のファミリースペースは構造に配慮しつつパノラマウィンドウとして、眺望や開放感を味わえるようにしました。


概要 - SPEC -

建設地 横浜市港南区
用途地域 第1種低層住居専用地域
建築用途 専用住宅
敷地面積 183.82m2(55.60坪)
建築面積 46.37m2(24.55坪)
延床面積 91.90m2(27.80坪)
構造規模 木造・2階建て
家族構成 3人
竣工 2008年

板倉構法のいえ

柱を立ててその間に杉の無垢板を落し込む板倉構法の住宅です。

合理的な構法を採用する

板倉構法とは、4寸(12センチ)角の柱の間に1寸(3センチ)の厚さの板を落し込んで壁を作る、
木造在来工法とはまったく異なる構法のことです。
落し込んだ板が耐力壁になり、柱も4寸(12センチ)角の柱なので丈夫な家になります。
決まったサイズの柱と、決まったサイズの板で全体が組み上げることが出来て、
それらが仕上げを兼ねることもできるため、無駄の無いとても合理的な構法です。
また、落し込む杉の板は、あまり需要の無いような部分を加工して作るので資源の有効利用にもなります。
この住宅では落し込み板とは別に、もう一枚、1.5センチ厚の杉の無垢板を必要に応じて張り、
2重壁の間を壁内の配線スペースとして使うことで、計画上、施工上の合理化を図りました。

壁と天井は杉板の現し、床は遮音用にPBを挟み込むなどしたうえで杉板を張っており、
そうやって出来た室内の空間のイメージに合わせて、建具も障子や黒のビニルレザー貼りの建具としています。

概要 - SPEC -

建設地 神奈川県城山町
用途地域 第1種低層住居専用地域(建築基準法・都市計画法上の建ぺい率/容積率 50%/80%)
建築用途 専用住宅
敷地面積 247.86m2(74.97坪)
建築面積 72.87m2(22.04坪)建ぺい率 29.4%
延床面積 125.97m2(38.10坪)容積率 50.8%
構造規模 木造(板倉構法)・2階建て
家族構成 2人
竣工 2007年

鵠沼海岸の家

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黒板のいえ

家族3人でお住まいの家です。2階に上がるとひろびろとした空間が広がります。ハイサイドの四角窓からは光が十分差し込みます。
床はフレキシブルボード張り。

ラクに過ごせるリビング、高い天井高を実現するための隠れた工夫。

SUMiZとのコラボレーションのお宅ですので、ここでは構造の話を。

ARCでは木造の住宅の場合、ほぼ全て剛床という構法を使います。
910ミリピッチに大梁を掛けて厚い構造用合板を張っていく、非常に上部な構造です。
加えて梁を現しにすることで、天井高さを確保しながら1階の階高を下げる、
つまり1階と2階のレベル差を小さくすることを実現しています。
そのことで、2階にリビングがあっても、1階2階間の移動が苦になりません。
このお宅ではさらにその階段に、建て主さんのたっての希望である全面書架を作ることによって、
たくさんの本の収納スペースを確保し、昇り降りだけの空間ではない階段+アルファのスペースとしました。
また、屋根の垂木に2×4材を使うことによって、小屋束、小屋束を極力省いた天井の高い空間をつくることができました。

開放的なスペースの実現にはたくさんの工夫が隠れています。

キッチンカウンターの腰壁には、建て主さんのご希望で黒板を作り込みました。
お子様との、またご家族間のコミュニケーションのツールとして楽しくお使いになっているようです。

概要 - SPEC -

建設地 神奈川県藤沢市
用途地域 第1種低層住居専用地域
建築用途 専用住宅
敷地面積 114.97m2(34.78坪)
建築面積 55.48m2(16.78坪)
延床面積 91.58m2(27.71坪)
構造規模 木造・2階建て
家族構成 3人
竣工 2010年

六ッ川の家

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斜面地に建つ高低差を限りなく活かした住まい

南向きの斜面地。
手前に開けた眺望、日当りが最高ですが、 傾斜地という建築的には最高に難しい条件の土地でもあります。
メリットを生かしながらデメリットも最大限に利用して、かつコストのかからないように建てる。 チャレンジしがいのある住宅でした。

2段の階段状の敷地をつなぐ

もともとこの場所は、2段に宅盤を造成して2軒のお宅が建っていたようです。
駐車スペースを確保しながら、既存の宅盤の安全性を増すような計画が求められました。
そこで生まれた解決法が、下段の擁壁を解体して地下車庫を築造し、
その上に建てる棟と奥の棟を、上段の擁壁を跨いで繋げるというプランでした。
また、2世帯住宅という条件も解決することができました。 屋上にも広いルーフバルコニーが実現できました。
立体的な敷地を多層的に使い切った住まいです。

概要 - SPEC -

建設地 横浜市港南区
用途地域 第1種低層住居専用地域
建築用途 専用住宅
敷地面積 160.89m2(48.7坪)
建築面積 71.89m2(21.8坪)
延床面積 162.29m2(49.1坪)
構造規模 木造2階建て 別棟地下車庫RC造
竣工 2011年

緑園都市の家

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庭へフラットにリビングが広がるバリアフリーの家

計画は、元々あった築16年の家についてご相談頂いたところから始まりました。
築年数の浅いそのお宅を建て直すことには大変考えさせられるものがありました。

車椅子のご家族と共に住まう家

まだまだ新しかったその家は、車椅子で生活をするための大規模な改造をする予定でした。
ところが、宅盤が道路面から70センチ程高く、既存の階段のアプローチをスロープに改修することは不可能でした。
南側の庭を潰してスロープにし、かつ車の出入りも兼ねるようにしなければならなく、車椅子での行動範囲に制限が出るおそれがありました。

正月を挟んでご家族で考えられたそうです。誰のための家なのか?車椅子のご子息とずっと一緒に暮らしていきたい。

共に過ごす生活者として自分たちも希望を持ちたい。大切にしていた木々も伐採しなければならない。
ご家族は建て替えを決心されました。
上下の移動こそエレベーターになりますが、水平方向の移動は室内でも庭でも、極力車椅子で自由に行動できる家です。
また、その場所ごとに新鮮な空間体験が出来、感覚を刺激することが出来るよう意図しました。


概要 - SPEC -

建設地 横浜市泉区
用途地域 第1種低層住居専用地域
建築用途 専用住宅
敷地面積 181.16m2(54.8坪)
建築面積 72.14m2(21.8坪)
延床面積 151.90m2(45.9坪)
構造規模 木造地上2階建て+鉄筋コンクリート造地下1階
家族構成 4人
竣工 2010年

北矢名の家

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中庭を介してスペースが繋がるコートハウス

通り庭を抜けると白い壁に囲われた中庭に出ます。中庭の周りには寝室や浴室、屋外階段を登った階上にはデッキテラスやリビングが広がります。

中庭を独り占めできる家

概要 - SPEC -

建設地 神奈川県秦野市
用途地域 第1種低層住居専用地域/第1種住居地域
建築用途 専用住宅
敷地面積 72.11m2(21.8坪)
建築面積 33.53m2(10.1坪)
延床面積 52.39m2(15.8坪)
構造規模 木造2階建て
竣工 2007年

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