2012年7月アーカイブ

5mの落差を活かしたいえ

開発分譲地として残ってしまった宅地、それも敷地内に5mもの落差がある土地でしたが、
駐車場を確保しつつ眺めの良い開放的なリビングを実現出来ました。

土地の形状を巧みに利用する

クライアントの若夫婦は子供の誕生に合わせてマンション購入の検討をし、
3LDKの新築マンションを予算内で購入することを予定していました。
しかし、入居後の管理・修繕費や駐車場代など月々の諸費用が5万円程度必要になることを知り、
一戸建ての住宅を持つことも選択肢の一つになると気づきました。
探し当てた土地は、地下鉄沿線の駅から徒歩10分くらいの開発分譲地です。
約55坪の敷地の中には高低差が5mもある擁壁があり、不動産的には評価の低い土地でした。
ただし、東面は開けた小川に面し、北側には遠く神社の森を望むことができます。

計画としては、建物内あるいは敷地内に駐車スペースが確保出来なければ意味が無いと考え、
5mの高低差に目をつけました。

カーポート兼用のアプローチは公道から30センチ上がったレベルとしています。
玄関はちょうどペントハウスから出入りするようなイメージとすればよいと考え、
最上階を玄関とそれに付随する中庭的なデッキテラス、およびカーポートとし、
その下にファミリースペース、最下階に浴室、洗面、個室という構成としています。
木造2階建ての陸屋根に車が載ることになるので、構造は剛床構造及び4寸柱で構築してあります。
合わせて2階のファミリースペースは構造に配慮しつつパノラマウィンドウとして、眺望や開放感を味わえるようにしました。


概要 - SPEC -

建設地 横浜市港南区
用途地域 第1種低層住居専用地域
建築用途 専用住宅
敷地面積 183.82m2(55.60坪)
建築面積 46.37m2(24.55坪)
延床面積 91.90m2(27.80坪)
構造規模 木造・2階建て
家族構成 3人
竣工 2008年

板倉構法のいえ

柱を立ててその間に杉の無垢板を落し込む板倉構法の住宅です。

合理的な構法を採用する

板倉構法とは、4寸(12センチ)角の柱の間に1寸(3センチ)の厚さの板を落し込んで壁を作る、
木造在来工法とはまったく異なる構法のことです。
落し込んだ板が耐力壁になり、柱も4寸(12センチ)角の柱なので丈夫な家になります。
決まったサイズの柱と、決まったサイズの板で全体が組み上げることが出来て、
それらが仕上げを兼ねることもできるため、無駄の無いとても合理的な構法です。
また、落し込む杉の板は、あまり需要の無いような部分を加工して作るので資源の有効利用にもなります。
この住宅では落し込み板とは別に、もう一枚、1.5センチ厚の杉の無垢板を必要に応じて張り、
2重壁の間を壁内の配線スペースとして使うことで、計画上、施工上の合理化を図りました。

壁と天井は杉板の現し、床は遮音用にPBを挟み込むなどしたうえで杉板を張っており、
そうやって出来た室内の空間のイメージに合わせて、建具も障子や黒のビニルレザー貼りの建具としています。

概要 - SPEC -

建設地 神奈川県城山町
用途地域 第1種低層住居専用地域(建築基準法・都市計画法上の建ぺい率/容積率 50%/80%)
建築用途 専用住宅
敷地面積 247.86m2(74.97坪)
建築面積 72.87m2(22.04坪)建ぺい率 29.4%
延床面積 125.97m2(38.10坪)容積率 50.8%
構造規模 木造(板倉構法)・2階建て
家族構成 2人
竣工 2007年

理容室から中国茶カフェへのリノベーション

中華街の片隅にあった古い理容室の建物を、中国茶が飲めるカフェに改装しました。

もともとあった梁や天井板を見せるデザイン

中華街の片隅に、恐らく戦後間もない頃に建てられた建物がありました。
新築の計画案も提案しましたが、建て主さんのたっての希望で建物を改装し、
趣のあるインテリアの実現と、耐久性のある外装、構造的な補強等を目指しました。

天井板を外したところ、丸太梁と天井板が現れました。
非常に雰囲気が良かったのでこれを現しにすることにして、
床や室内の木部も梁と天井の雰囲気に合わせています。

下階の室内はジョリパットで仕上げ、上階については構造用合板で仕上げています。
上階のトップライトから差し込む光が、やわらかく室内を照らしています。1

概要 - SPEC -

建設地 神奈川県横浜市
用途地域 商業地域
建築用途 カフェ
敷地面積 73.81m2(22.33坪)
建築面積 61.16m2(18.50坪)
延床面積 92.93m2(28.11坪)
構造規模 木造
竣工 2012年

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